音読はするべきか?

先日、とある記事で「読書中の8割は文字を見ていない(なぜ目の動きを速くしても、本の速読できないのかー必要な情報を出来るだけ早く、頭に叩き込む方法)」というものを見かけました。

ご覧になられた方もいらっしゃるかもしれません。

確か経済系雑誌の記事でしたが、いくつになっても活字と上手く付き合うのが必要と考えられている、という事だと思いました。

その記事を読んでいるうちに、ふとこれは良く言われる「はたして音読は必要か問題(?)」につながっている内容だと思い、今回取り上げてみる事にしました。

目次

一般的な音読の意味とは?

良い言葉を身体の中に入れる。

「読書百遍自ずから通ず」という言葉があります。

どんなに難しくて分からない文章でも、何度も繰り返し読んでいるうちに自然と分かるようになっていく、というものです。

とても深い意味のある素晴らしい言葉ですが、かなり古い言葉です。

もしかしたら、これなどには音読のイメージが伴うかもしれません。

寺子屋で子供達が「子曰く…」みたいな感じで「論語」を音読してるような…。

まず音読効果の一つ目がこれです。

意味は完全に理解しきれていなくても、古典などの良い言葉を何度も何度も繰り返し唱えていると、身体の中に入れる事が出来ます。

作家を目指す人がお手本とする人の文章を書き写したり、場合によっては音読したりするのもコレです。

やはり目で読むだけでなく、読む書く聞くなどの他の五感まで動員する事で、より深くその文章を自分の中に取り入れる事が出来ます。

言語として身につける。

英語の授業など、外国語を身につける時にも音読は大事です。

その言葉に慣れる、発音を身につける、アウトプット出来るようにする、など色々と理由はあるでしょうが、音として口から言葉を発する事なく外国語をマスターするという話は聞いた事がありません。

国語といえども、まずは日本語なので、年齢が下の方になりますと、やはり音読をして日本語として身につけていく、という姿勢が必要になってきます。

余談ですが、国語がとても苦手な生徒さんの場合、英語など外国語を身につける時の手順が、勉強する上で役に立つ事があります。

受験勉強として音読する意味とは?

いきなり音読する場合。

初見の文章を読ませてみて、声に出して読めるのに、読み終わった後に書いてある内容が分かっていなかった、とおっしゃる方がたまにいらっしゃいます。

先程の記事にも書いてありましたが、読書中の脳の8割は言葉の意味の理解に使われており、目からの情報の処理には使われていないとの事です。

”速読の残念な真実”として、読書中に「目は文字を見ていない」とすら書いてありました。

単なる音読(目に入った言葉を口に出すだけ)をする場合、脳が目からの情報の処理だけに使われていて、言葉の理解の方に使われていない可能性が大です。

なので初見の文章をいきなり音読するというのは、間違った読み方をしている恐れがあります。

物語文、詩などで易しい内容の場合は、口に出して読みながら、同時に言葉の意味も理解していけるのであれば大丈夫ですが、かなり丁寧に読み進めていく必要があります。

もし音読をするのならば、基本的には一度読んで内容をキチンと把握してからにした方が安心です。

読み飛ばしをなくす。

文章を読む時に、脳が文字自体の処理に使われていないのであれば、丁寧に一語一語音読していく意味はあるのでしょうか?

実は役に立つ場合があります。

それは読み飛ばしをしているような生徒さんの場合です。

よく「落ち着いて良く読みなさい。」と言われたりとか、「○○って書いてあるでしょ。」「あ、見落としてた。」などのやりとりがある人とかがいますが、そんな人にはとても役に立ちます。

ただ基本的にそういう生徒さんに限って、丁寧に音読するのは嫌がります。面倒くさがります。

だからこそ飛ばして読んでしまっているとも言えます。

またその時に、本文を読ませる事が多いと思うのですが、是非とも問題文の方も音読してみる事をお勧めします。

その際、何を聞かれているのか、文中にヒント、手がかりはないか、など丁寧に線や印などをつけながら読めればベストです。

国語の成績がイマイチな人の場合、読み飛ばしをしている可能性が非常に大きいので、音読が役に立つという事です。

上級者になってきたら無理にする必要はないでしょう。

個人差があるのでハッキリとは言えませんが、一般的なイメージとしては、4、5年生くらいまででしょうか。

ただ国語に限らず、問題文の意図をしっかりと汲み取れていないような場合には、丁寧に音読させてみる事は非常に効果的です。

「音読」から「読み方」へ

記事にこんな事も書いてありました。

「いつものスピードだと10時間かかる本があったとして、もし5時間しか与えられなかった場合、どのようにするのが一番本の内容をインプット出来るか?」という質問です。

A:同じスピードで、全体の前半のみ読む。
B:同じスピードで、全体の後半のみ読む。
C:同じスピードで、全段落の前半のみ読む。

答えは…

そうです。Cです。

中心文、キーセンテンスの考え方が頭に入っている人にとっては、当たり前の問題かもしれませんが、そういう事を知らずに一生懸命に同じ力で全文を読んでる人をたまに見かけます。

何が言いたいかと言うと、つまり読み飛ばしがなくなったら、次は是非「読み方」の方に力点を置いていって欲しいという事です。

その上で、たくさんの様々なジャンルの文章に触れていけば、本当の読解力につながっていく事でしょう。

まとめ

音読は、やり方次第で、毒にも薬にもなります。

意味なくやらせるだけでは、力がつかないどころか、単なる拷問のようになって国語嫌いを助長するだけになる危険もあります。

ただ意味を考えて正しく用いれば、物凄い力を発揮する場合もあります。

是非とも、正しく「音読」を活用して頂きたいと思います。



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