模試の偏差値などが急激に下がってしまう事があります。
家庭教師などの依頼がある場合、半分くらいはこのパターンです。
本当はそうなる前に来ていただければ、まさに「鬼に金棒」(家庭教師=金棒?)なのですが、やはり時間や費用の負担などを考えるとやむを得ない事かもしれません・・・。
なので、そういったケースはたくさん拝見してきたのですが、だいたいいくつかのパターンや原因があります。そして原因が分かれば対処も改善も出来ます。
そこで今回はいくつかの代表的なパターンについて考えたいと思います。
前提-あまり毎回の点数(偏差値)の上下に一喜一憂しない。
まず色々なパターンの前に、一番大切な事をお話しなくてはなりません。
それは、あまり一回一回のテストの点数(偏差値)に一喜一憂しない方が良い、という事です。
特に新しい事を始めた時などすぐに結果を求めてしまいがちです。
しかしそれは良くない事です。
すぐに形に出るのは嬉しいですし、そういう事も結構ありますが、それはおそらく表面的というか、小手先な部分とも言えます。
ちょっと考えてみてもらえれば分かると思うのですが、毎回成績が上がり続けるという事があり得るでしょうか?
例えば偏差値が2だけ毎回上がれば、一年間で24上がる計算になりますが、そんな事はあまり聞いた事はありません・・・。
(偏差値が20上がる事もありますが、もちろんそんなやり方ではありません。)
正しい事を続けていれば、後ほど上がりますし、正しくない事を続けていれば、後ほど下がります。
それが本当の実力です。
とてもシンプルな事です。
大切なのは、毎回の上下でなくて、大きな流れの中で、上がっていっているのか下がっていっているのかを見極める事です。
良いものも悪いものも、形になるまでにはタイムラグがあります。
なので、ちょっと成績が上がったからといって油断するのも、下がったからといって落ち込んだり、自信を失ったりするのも正しくありません。
それよりも成績が上がる勉強をしているのか、下がる勉強をしているのかの方が大切です。
そして、そういう大きな流れの中で、もし前に比べて明らかに下がってきている、という場合は原因と対策を考える必要があります。
今回は代表的なパターンを3つに絞って、お話させて頂きます。
【パターン1】今まで隠れていたマイナスのものが形に出てきた。
私が見てきた中で一番多かったのがこのパターンです。
例えば、宿題をしない、復習をしない、丸つけをしない、授業をあまりキチンと聞いていない、言われたやり方でなく自己流のやり方、解き方でやっている…などなど、いくらでも出て来ますが、いわゆるマイナス面です。
それまでは、地頭や勘の良さや蓄積してきたものなど何らかの原因でやり過ごせていたものが、それでは点数が取れなくなってしまった訳です。
学年の変わり目や夏休みの後など、表面に出てきやすい時期がありますが、これは逆に早めに分かって良かった、と前向きに考えましょう。
(中学受験はそれほど甘い世界ではないので・・・。)
先程もお話しましたように、良いものも悪いものも形に出るまでにはタイムラグがあります。
いきなり出てくれば分かりやすいのですが、そうではありません。
目に見えないコップの中に少しずつ水が溜まっていって、ある時ドバッと溢れ出してくるイメージです。
点数が一気に下がったのは、それらが一気に形(点数)に出て来てしまっただけです。
「成績が上がる時には、階段のように上がっていく」と言います。決して同じペースで上がり続けるのではありません。
だから上がらなくてもコツコツと続ける事が大事になってきます。
それに耐えられなくて、やるべき事を止めてしまったり、モチベーションが下がってしまったり、自信をなくしてしまったりするのが、成績の上がらない大きな原因の一つです。
一気に成績が下がる時は、この逆のパターンが起きています。
イヤな言葉ですが、まさに「階段を転げ落ちるように・・・。」です。
(残酷な事に、上がる時より下がる時の方がスピードは速いものです。)
その時の対処の仕方ですが、まずはその原因(今までやってきたマイナスの事)を突き止めて、なくすという事になります。
一番大切なのは、マイナス面から目を背けない事です。
つい「○○君は、それでも□□中学に受かったのに・・」など都合の良い話ばかり頭に浮かんできてしまうかもしれませんが、そこはグッとこらえて、冷静に考えてみる事が大切です。
【パターン2】やるべき学習内容が一段上のグレードに上がった。
別にそんなに悪い事も見当たらないし、他の子達と同じようにやっているのに、なぜか急に下がってしまった…みたいな場合です。
国語の本文が長くなった、歴史が始まった、割合が出てきた…、などなど、いくつかのつまづく時期というのがあります。
一言で言えば、何か新しいものが始まった時です。
その時の対処法は意外と簡単です。それはその新しく始まったものだけを徹底的にやれば良いだけだからです。
ただ気をつけなくてはならない事が一つあります。
それはなるべく早く、というか少しでも早く発見して手を打っておかないといけない、という事です。
ダラダラと先延ばしして何とかなるかも…と高をくくっていると、あっという間に時間が経ってしまい、とんでもなくマズイ状況に陥ってしまいます。まさにガンの早期発見と同じです。
もう一つは、別に新しい単元が始まった訳でもないのに、なぜか急激に落ちていってしまう、という事もあります。
人によりますが、学年が変わった後や次の学年が近づいて来た時、夏休み後などに多いみたいです。
それは自分が原因というよりは、他の子達が一段ギアを上げてしまったからかもしれません。
今まであまりやっていなかった子がやり出した、新たに優秀な子が参入してきた、個別指導、家庭教師などプラスアルファの事をやり出した…などなど、たくさんありますが、要は他の子のレベルが上がってしまった訳です。
偏差値というのは、相対評価、つまり他の子達との関係(位置づけ)ですので、自分が変わらなくても他が変われば、数値は変わってしまいます。
特に真ん中以上のクラスに多く見受けられる現象ですが、これはそれに負けないように、自分も力を入れていくしかありません。
ただ是非とも気をつけて頂きたい事があります。
それは、とにかく勉強時間を増やさねば…という方向に行ってしまうと、あまり良ろしくない、という事です。
時間もある程度必要なのですが、それよりも時間の使い方、やるべき事の強弱づけ、集中力や興味を持ってやる…、などの方が何倍も大事だからです。
無理矢理やらせるみたいな形になってしまうと、勉強時間だけ延ばしていっても、逆にその分だけ密度が薄くなってしまい、時間の分だけ成績が上がっていく訳でもないからです。
【パターン3】新たに何か下がる原因があった、または始まった。
自分の中に元々あった原因が出てきた訳でもなく、他の子が変わった訳でもない…。
それなのに急激に成績が下がってしまったのならば、やはり自分に何か新しい原因があったり始められたりしたり…という事が考えられます。
例えば…
親御さんや先生、またはお友達のある言葉でやる気、自信を失ってしまった。
ゲームの楽しさを覚え、ゲーム脳になっていってしまった。
単に塾、受験勉強に慣れてきて、飽きてきてしまった、気が緩んでしまった。
家庭の中で何か新しい出来事が起きてしまった。
などなどキリがないですが…。
原因が分かれば対処すれば良いですし、変えられない事ならば、じっくりお子さんと話し合ってみるなど、何かアクションを起こす事が必要になってきます。
まとめ
成績が急激に下がってしまった原因についてお話しました。
焦ってしまうお気持ちは分かるのですが、こういう時こそ冷静になって対処法を考える事が一番大切です。
諦めてしまったり、目をそらしたりしない事が大切です。
長い受験勉強生活の中で、何事もなく順調に進んで行く…なんてケースは極めて稀です。皆さんそれぞれ様々な壁にぶち当たって、必死に乗り越えていかねばなりません。
でも、だからこそ素晴らしい、とも言えるのではないでしょうか。
そんな簡単に手に入るものでしたら、逆にあまりたいした価値はない、とも言えるので…。
小さな山、大きな山と、乗り越える山は人によって違いますし、大変ではありますが、是非とも逆に山を乗り越えていく喜びを味わって頂きたい、と思います。
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