本番に強い人、弱い人、普通な人
ついに今年の入試もひと段落つきました。
受験されました皆々さま、本当にお疲れ様でした!
忙しくてずっとブログが書けていませんでしたが、また再開させていただきます。
どうぞよろしくお願い致します。
さて、今回もつくづく感じたのですが、やっぱりどうしても本番に強い、弱いというのはあります。
これは勉強面に限った事ではないでしょう。スポーツの試合、何かの発表会・・・。
確かに性格、環境・・・など様々な要因があるにしても、受験という場において、ここを失敗してしまうと本当に悲劇です。
今回はこの「本番で力を出すにはどうしたら良いのか?」というテーマについて考えてみます。
そのためには、逆に力が出せない原因について考える事が役に立ちます。
大きく分けて、二つのパターンが考えられます。
他の事を考えてしまう(エネルギーが使われてしまう)パターン
これは簡単に言ってしまえば、目の前のテストの問題だけに集中出来ていない状態です。
一番多い要因は、緊張と不安です。
ダメだったらどうしよう、他の子達が自分より出来てそう、相性の悪い問題が出たらどうしよう、解き方合ってるかな・・・、キリがありませんが、とにかく余計な事を考えています。
問題を解く時、脳は同時にやらなくてはならない事がたくさんあります。
時間配分の事、問題を処理する順番、問題文をよく見て手掛かりが隠されていないか考える・・・などなど、さらに科目によって、問題の種類によって、やらなくてはならないポイントが物凄くたくさんあります。
それなのに余計な事にエネルギーが使われてしまっていると、どうなるでしょう?
その分だけ、いつも以上にミスをする、いつもは出来ている動作がとれない、問題が解けない・・などなど、つまりパフォーマンスが低下します。
その結果、当然の事ながら、点数に影響が出てきてしまいます。
また、逆に緩み過ぎているのもダメです。
余裕があり過ぎる時(相手を侮っている〈なめている〉時)も、集中出来ません。
あまり入試ではないですが、たまに練習校やおさえの学校などで起こります。
また本当はそんなに余裕がないのにも関わらず、自分の力を過信している人もいます。
そんな気持ちなので、過去問もほとんどやってなかったりします。
力が入り過ぎる(意識しすぎる)パターン
この場合、目の前の問題に集中し、別に不安や恐怖がある訳でも、侮っている訳でもありません。
良い点を取ってやろう、必ず受かってみせる・・・、と一見前向きで良い精神状態であるような気もします。
ちなみにある特定の学校(ある人には模試でもそうですが・・・)に強すぎる思い入れがある場合、「必ず受からねば(良い点を取らねば)ならない」は恐怖、不安につながってしまいがちです。
しかし、たとえ恐怖、不安がなかったとしても、いくら自信があって前向きでも、力が入り過ぎて失敗してしまうという事もあり得ます。
この場合、いつもは無意識に出来ている事が、意識的になってしまいパフォーマンスが落ちている状態になっている事が多いです。
スポーツ、楽器、何でもそうですが、初心者のうちは一つ一つ新しい事を習いながら、意識的に身につけていきます。そして訓練を繰り返す事によって、無意識にそれらの事柄が出来るようになっていきます。
勉強も全く同じです。言い換えれば、そこまで繰り返して身につけていく事が大切とも言えます。
(「ちょっと出来るようになったら同じような問題をやるのは、つまらないからイヤ」というわがままな(?)性格のお子さんは、そこを注意しないと先々伸び悩む事が多いです。)
力が入り過ぎてしまうと、絶対に落としたくないとの気持ちから、一つ一つの動作に慎重になり過ぎてしまい、意識的になってしまいます。
ぎこちない初心者の状態に戻ってしまうとも言えます。
そうなると、いつもは普通に出来ていた問題が解けない、または時間がかかってしまう、などの状態に陥ってしまいます。
では、いったいどうしたら良いのか?
怖がっても、力が入ってもダメとなると、いったいどうしたら良いんだー!という気になってしまうかもしれません。
一言で言えば、「無」心で目の前の事のみに集中する、という事です。
ただ非常に奥の深い問題です。
なので、今までの私の経験から、いくつか思いつく事を書いてみる事にします。
欲を捨てる。(開き直る。)
まずはコレです。
最悪の状態を想定して、そうなったらどうするかを考え、受け入れる事です。
中学受験が人生のゴールではありません。大学受験もありますし、がんばった事は何一つ無駄にはならないです。本当です。
実際、運よく実力以上の学校に受かった子と、悔しい結果に終わった子のその後を見てみると、大学受験では逆転している事が多いです。
しかし、これはどちらかと言えば、親御さんの方が思えない事が多いみたいです。お気持ちも分かります・・・。
直前期の1月に学校を休む生徒さんが多い中、学校が好きだから、楽しいからと休まない子がいますが、そういう子は結構本番に強かったりします。
もちろん合格はしたいでしょうが、最悪の場合(そのままの中学校に進む場合)の事も、もしかしたら心の奥で受け入れられているのかもしれません。
まずは練習、おさえも含め、受験校を慎重に組む事が一番です。
皮肉な事に、そこを慎重にやっている人に限って奇跡とも言える合格を勝ち取ったり、逆に甘く考えてる人に限って真っ青な状態になったりします。
これを毎年繰り返しているのが、この業界の悲しい現実です。
まさに「備えあれば憂いなし」なのです。
準備を万全にしている人の方が、無心に集中して受験する事が出来るので、パフォーマンスが上がり、いつも以上の力が出たりします。受けている間、勢いのようなものが感じられたりする事も多々あります。
実力より低い学校を受けたりすると油断したり、現状に満足してしまうのではないか、と恐れる親御さんもいらっしゃいますが、現実は逆のパターンが多いみたいです。
もちろん「最終的な目標校の一つ上を目指す」というのは良いです。むしろそうするべきかもしれません。
ただ本番は、慎重になった方が力を出しやすいという事です。
その上で、最悪のパターンまでも受け入れられると、無心に受けられるのではないでしょうか。
模試レベルであっても、あまり一回一回の点数の上下に過敏になりすぎると、逆にどうしてもパフォーマンスが落ちてしまう事が多いです。
上手くいくイメージを強く持つ。
一見先ほどの内容と矛盾しているように思われるかもしれませんが、そんな事はありません。
一種のイメージトレーニングのようなものです。
人は自分がイメージしている人物になる、とかいう言葉がありますが、ある意味本当にそうです。
ご存知の通り、これはスポーツなど色々な分野で取り入れられていますが、勉強、受験においても使えます。
本当に、本番で最高の、あるいはいつも通りの動きが出来るように確信出来ていれば、あとは安心して、目の前の問題に取り組む事が可能になります。
ここで詳しくやり方を書いていく事は出来ませんが、ポイントは細かく具体的にイメージして、本番は落ち着いて、安心して集中出来る状態に持っていければ最高です。
こういう事も、模試などで繰り返しているうちに、少しづつ上手になっていきます。
模擬試験を使って、練習していく。
一番練習になるのは、もちろん本番ですが(なのでいきなり第一志望校受験は難度が上がる訳ですが)、次に練習校、その次に模試となります。
模試は単に受けっぱなしにするのではなく、もちろん教科面も大事ですが、同時にこの「力を出し切れたかどうか」も考えていくと、もっと役に立ってきます。
原因は一つではないかもしれませんし、いきなり解決できるとは限りませんが、また思ったのと違う所に原因があるかもしれませんが、毎回検証していく事が、後々生きてきます。
「ウチの子は集中力ないから、ダメだなー、ミスは直らないか・・・」と決めつけないで、どうして集中力がないのか、ミスするのか、考えていった方が建設的です。
まとめ
今回は外山美樹さんの「実力発揮メソッド パフォーマンスの心理学」より、一部引用させて頂きました。
日頃の努力が何倍にも実るためにも、また少なくともそのまま発揮出来るためにも、本番に強い方が良いに決まってます。
もしいつもテストになると点数が取れないなどの傾向があった場合、是非とも諦めないで、色々と原因を考えていきましょう。
例えば、日頃の勉強のやり方なども影響が大きいようです。
いつもどれだけ能動的に、そしてどれだけ集中出来ているかです。
その意味でも、一度に続ける勉強時間は、長すぎても、短すぎても良くないでしょう。
是非とも、一人でも多くの方が、本番できちんとやってきた成果を出し、悔いの残らない受験をして頂きたいと思います。
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