国語の先生の選び方(5段階)について

今までのご相談で多かったのが・・・

「塾ではただ問題を解くだけで、解き方、読み方を教えてくれないんです。」とか

「文章の内容、その問題の説明はしてくれるんですが、例えば記述の型とか、他の問題にも通用するやり方を教えてもらえません。」

などです。

なかなか鋭いと思います。

確かに国語は、同じ問題というのはほぼ出ないので(漢字や知識系は別ですが)、そこが一番大切な所なのですが、そう教えない先生がたくさんいらっしゃるのも現実です。

原因は色々とあって、実は恐ろしい業界事情があったりするのですが、話し出したらそれこそ、ブァーーー!と長くなってしまうので・・・(笑)

今回は勝手ながら、先生のレベルを5段階に分けさせていただきました。

一般的に授業は非公開の事が多いので、分かりづらいかもしれませんが、通ってるお子さんに聞いてみたり、体験授業でその先生に聞いてみたりすると、少し分かるかもしれません。

それではまず「第一段階」から・・・
(数字の大きい方が優秀です。5段階の通知表みたいなイメージで見てください。)

目次

第一段階 生徒を精神的にダメにする先生。

驚くかもしれませんが、実はいます。

自信をなくさせる、勉強を嫌いにさせる・・・などなどです。

先生自身は良かれと思ってやっています。

「受験は厳しいんだ!そんな甘っちょろい事を言ってて出来るようになるか!これがホントの愛情だ!」

みたいな感じです。

基本的にクレームが来たりするので消えていったり、少なくなっていったりしますが、社内で他の部分が評価されて生き残っていたりする事もあります。ザ・昭和的?な年配の方が多いみたいです。

逆に若い先生でも「実績を出したい!」という強烈な思いがあったり、自分がずっとスパルタでやってきて、そのやり方に絶対的な自信を持っていたりすると、そうなったりします。

それで上手くいく事もあるので(そうでなければクビになってますので)、はまっている生徒さん達にとっては問題ないのですが、それでダメージを受ける生徒さんにとっては最低なので、第一段階にさせてもらいました。

結局、精神的につぶれてしまっては、何をしようとその先がないからです。

第二段階 答えしか言わない先生。変なクセをつけてしまう先生。

答えしか言わない先生というのも、たまにいます。

「さぁ、答えはどれでしょう?・・・イ?ピンポーン、正解!では、次は?なに、ア?うーん、そうだね、確かにそんな気もするよね。でも、ここは・・・エでした。残念!で次は・・・。」

みたいな感じです。今までに、何人か見た事があります。

実はこれは結構悪意があるというか、手抜きみたいな所があります。

能力的にそういう先生もいるのですが、相手を見て、やっている先生もいます。

親御さんのいらっしゃる体験授業の時は普通にやっているので、悪質です。

要は教材に前もって目を通していない、つまり本文を読まずにやっている訳です。

たまに勘違いされている方がいらっしゃるのですが、「優秀な先生ならその場で初見の問題でも解説が出来るでしょう」なんて思っていたりします。

確かに他の教科であれば、そういった面もあります。(長文系、複雑な問題は別です。その場合は、正直適当にやっている可能性大です。(笑))

でも国語において準備なく教えている、本文に目を通さずに教えているというのはどういう状態かというと、答えを言っているだけか、解説や傍線の前後や本文の最初か最後を見て、上手に適当に誤魔化している(←長年やってると、その気になれば誰でも出来ます)という事です。

読まなくても何が書いてあるか分かる、みたいな超能力でもあれば話は別ですが…(笑)

「私はベテランなので、読解問題でも何でも、見た瞬間にパッと教えられます。」みたいな先生には気をつけましょう。

それから、変なクセをつけたがる先生というのもいます。

「自分の生徒は自分色に染めたい・・・!」みたいな感じです。

しばらくその先生のクラスにいると、皆が変な所に印をつけ始めたり、とにかく普通でない動きを強要されます。

そういうタイプの先生は、自分の言う通りにやらない生徒は許さないので、生徒の方は良く分からないままそのようなやり方を身につけてしまいます。

これのやっかいな点は、なかなかそのクセが抜けなくなってしまう事です。

それが役に立つのなら良いのですが、そういった例は今までに見た事はありません。

本当に後で苦労します。

答えを言うだけの先生は、時間とお金の無駄ですし(座らせて勉強させるという点だけは役に立っていますが・・・)、変なクセをつけさせたがる先生は、勉強面において実質的なマイナスがあります。

ということで、第一段階と第二段階は、マイナスになってしまうパターンでした。

第三段階 本文に関する事のみを話す先生。根拠を示す先生。

一番人数が多いレベルの、いわゆる普通の先生です。

物語文なら背景や心情の流れなんかもきちんとやりますし、説明的文章であれば、段落ごとや全体を整理して作者の主張をまとめたりしてくれます。

また問題ごとに、答えの根拠もきちんと示してくれます。

いわゆる有名な大手集団塾の講師としての普通です。

(が、実は最近は人手不足で、このレベルの先生達もどんどん流出しつつあって、そこまでいってない先生達も増えてきてる感じもしますが…。)

惜しいのは、なぜそこが根拠になるのか、なぜそこが見つかるのか、などその前段階の「なぜそうなるのか」の方法論がない、教えてくれないのです。

なので、どうしても授業は、「〇〇だよね。」とか、「どこどこに線を引きなさい。」など、一方的に納得させたり、指示を出したりする形になります。

生徒さんは授業中は出来たような気になるのですが、テストなどで他の問題をやった時に、あまり出来るようになっていない事に気がつきます。

そんな中でも、出来るようになる生徒もいます。

多量の読書や元からの頭の鋭さによって、自分で方法論を身につけていく子達です。(無意識の世界でやっている事も多いです。)

または、そういう事の分かる一部の親御さんや専門家が付いて教えている場合です。

正直、「わざとそういう子やご家庭を選別して残すために、あえてそうしてるのか?」とすら思ってしまいます。

実際、物凄い実績を出している某塾では、研修で最初に「ウチは子供さんの力で食べさせてもらってる事を決して忘れないように!」と言われるとか…。

有名所、例えば大手四大塾などは教材も良いですし(←ちょっと疑問な塾もありますが、やめときます…)、競争心を煽って上を目指すなど、素晴らしい面もたくさんあります。

でももし上手くいっていなかったら、次の手を考える必要があります。

合否は塾の名前で決まるのでなく、あくまでご本人の実力で決まるので…。

第四段階 答えの前段階の読み方、解き方の一般的な方法論を教える(分かっている)先生。

ここからはなかなかレベルなので、先生の数はかなり少なくなってしまいます。

文章や問題の解説、学校の傾向などが教えられるだけでなく、どういう手順でやったらそう出来るようになるか、を教えてくれる先生です。

簡単に言ってしまえば、「誰でも出来るようになるにはどうしたら良いか。」の方法論があるかどうかです。

例えば、記述はどう書くのか、そのためにはまず作問者の求めるポイント、採点のポイント、要素が分かっていないとなりませんし、ひいては模擬試験、入試問題を作る側の事情、求める所が分かってないとなりません。

もちろん分かっているだけではダメで、「だからこういう風に考えて、こう処理していく。」と型のようなものがないと書けない子もたくさんいます。

また抜き出し問題であれば、どうしたら早く正確に見つけられるのか、などです。

ちなみにしばしば書店でこの「方法論」の本を見かけます。昔の私の職場の先生でもいらっしゃいました。

ただちょっと考えて欲しいのですが、もしその本を見ただけで出来るようになってしまったら、その先生はお仕事がなくなってしまいますし、日本中の塾は大変な事になってしまいます。

そこは先生方みなさん考えますし、私でも当然そう考えます。

こういう本は大体二通りあります。

一つは本にするために、物凄い数のやり方、それこそ何十通りものやり方が書いてあります。

実際に本文を読んだり、解いたりする時に、そんな事を考えながら出来るでしょうか?←絶対に不可能です。

大体勉強以外でも何でもそうですが、まずは基本でこれが出来るようになったら次にこれ、と順番がありますし、上達すればするほど頭の中はシンプルになっていくものです。

あと一つは、ほんの一部だけ紹介してあるものです。それを何ページも使って一冊の本にしています。

言葉は悪いですが、その先生の宣伝、紹介パンフレット的な感じです。

どちらも参考にする分には良いと思いますが、あまりどっぷり入り込んでしまうのは避けましょう。

実際そういう方を何人か見た事がありますので…。

第五段階 生徒のタイプに合わせて方法論を身につけさせ、やる気を出させて、自分でどんどん伸びていく状態にまで持っていく先生。

出来る事なら、こういう先生がベストです。

希少価値が高く、もし出会えたら(コマが空いていたら)、かなり幸運です。

生徒さんは本来の力より何ランクも上の学校に合格していく可能性が非常に高いです。

これはどういう事かというと、方法論があるだけでなく、相手に合わせてキチンと対応が出来る先生という事です。

第四段階のレベルまでの先生になってくると、経験も豊富でたくさんの生徒、先生を見てきているので、自分で自分の価値がある程度分かっています。

そうなるとどうなるかと言うと、その自信ゆえにどうしても

「とにかく何も言わず自分についてこい!言われた通りにやれ!」

と、簡単に言えば自分本位(偉そう?)になりがちです。

しかしやるのは、生徒さんです。生徒が拒否したり、理解出来なかったりしたら、あまり意味がありません。

「みんなこうやってるんだよー。」と言われて安心する子、反発する子…

初めにやり方を聞きたい子、まずは自分のやり方を認めてもらいたい子…

人それぞれです。

なので、やっぱり最後は生徒のタイプに合わせて、キチンと身につけさせるまでいかないとなりません。

そして、たいていこういう事が出来る先生は、生徒のやる気や自主性を出す方法まで分かっています。

言わなくても自分でやるようになって成績もグングン上がってきますが、それでもやっぱり先生は必要です。

そのレベルになるとかなりハイレベルな学校を目指す事になるので、同程度の生徒さんと競って確実に勝つためには、どうしても専門的な知識が必要になってくるからです。

その場合は、先生というより、優秀な選手と優秀なコーチみたいな感じになります。

まとめ

そもそも世間で「先生」と呼ばれるような仕事は、個人差が大きいものです。

ましてや塾、家庭教師などは、資格がある訳ではないですし、自分でプロと言えば、その日からプロです。(もちろん学生さんと違って生活がかかっているので、その分だけは皆真剣ですが…。)

選ぶ方は大変だと思います。

もちろん市場原理があるので、ある程度能力と金額は比例しますが。

ただ数は少ないですが、そこを逆手にとったセンターや個別塾もあるので、さらに難しくなってきてしまいます。

そんな時、今回のお話が何かの参考になれば幸いです。

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